THE POWER OF HABIT-6 組織にはびこる悪習慣をなんとかしたい

悪習慣が引き起こす問題

Chapter6には「組織内の悪い習慣」が引き起こした問題、悲劇といってもいいような実話が出てきます。

ニュースで「○○は暗黙の了解だった」「○○するのが慣例となっていた」ことが事故や事件の原因である話はよく耳にします。「○○してしまうのは会社の体質」というコメントはまさに社内に「悪習慣」といえる業務の進め方があったことを指しています。データ改ざん、不正会計といった不祥事も悪習慣に基づいた行為の結果と言えますね。

組織全体がうまく機能するために、部門や作業グループ内のメンバーに対して一定の権限を与え、他部門や他メンバーにその権限を侵害させないような体制を取っていることがよくあります。仕事に対するモチベーションを高め、効率良く作業を進めるためにはそれぞれに権限を与えることが必須だからです。

ところが危機が訪れた場合には「他の権限を侵害させない」ことが仇となります。他メンバーや他部門、第三者からのチェックや制止機能が働かずに危機を大きくしてしまうという恐れがあります。

  • 順調な時 → 決められた権限の範囲で仕事を進めることが最も効率的
  • 危機が発生した時 → 他者からのチェックやサポートは権限を越えた行為にあたるため発覚が遅れたり発覚しても制止することが困難

How can an organization implement habits that balance authority and, at the same time, choose a person or goal that rises above everyone? (p175)

危機から学べることは多く、状況を適切に改善できる組織だけが生き残れるのです。

悪習慣を改善するには

社員が「このやり方は良くない」と思っていたとしてもそれが上司の命令や社内の慣例だったらなかなか正すことは難しいです。組織の悪い習慣を改めることができるかどうかはどうしてもトップの考え方や手腕にかかってきます。

優れたトップは問題が発生したり、発生しそうなときにいち早く気づき改善策を打ち出します。できれば問題に直面したくはないですが、問題に直面した(しそうな)時ほど現状をより良くするチャンスなのです。

You never want a serious crisis to go to waste. (p180)

「トップの考え方や手腕にかかる」といってしまうと身も蓋もない感じがします。自分はトップやリーダーじゃないからどうにもならないと思ってしまうかもしれません。

でも、組織の目指すところは皆が共通に認識しているはずです。その目標に到達するうえで必要なこと、不要なこと、改善すべきことを権限の範囲内で訴えることは可能なんじゃないかと思います。

…というのは理想論かもしれないですね。組織や立場によりますね。意見を受け入れてもらえる、改善策を提案する権限が持てるような組織で働きたいです。

つづく。