プレゼンテクニックについてはいろんな人がいろんなことを言いますし、たくさん本も出ています。
今日は脳科学の観点から考えた『プレゼンを成功させるポイント』をまとめます。
10分ルール
集中して人の話を聞ける時間はせいぜい10分間だそうです。プレゼンの持ち時間が10分以内ならなんとかオーディエンスの興味をひきつけたまま話を無事に終えることができそうですね。もっと長い時間のプレゼンなら伝えたい内容をいくつかに分けてひとつのテーマが10分以内におさまるように組み立てます。
どんなに素晴らしいスピーチであっても9分を超えるとオーディエンスは退屈します。そこで9分を過ぎたら目を覚ましてもらうための『フック』を仕込みます。それまでの9分間のおさらいをしたり、オーディエンスに質問を投げかけてもいいですね。次の10分間の予告でもいいかも。ちょっと空気の流れを変えるイメージです。
After 9 minites and 59 seconds, the audience’s attention is getting ready to plummet to near zero. … Not more information of the same type. (p121)
盛り込みすぎない
10分間で話す内容は『大きなテーマをひとつ』に絞ります。冒頭でコンセプトを伝え、話そうとしている内容をおおまかに理解してもらってから徐々に細かい内容に踏み込みます。トップダウン形式ですね。
脳はいきなり細かい情報を与えられても処理する(=理解する)ことができません。その一方で、脳は『概念のち詳細』という階層構造を理解することが得意です。このブログもそうですが、ある程度長い文章を書くときは『見出し』を使って文章の構造をはっきりさせたほうが読み手に取っても書き手にとってもわかりやすい文章になります。これは話すときも同じです。
Each segment would cover a single core concept – always large, always general, and always explainable in one minute. The brain processes meaning before detail, and the brain likes hierarchy. (p121)
マルチメディアを駆使しよう
スライドを使ったプレゼンをするときには文字だけでなく図やグラフ・イラストを入れるようにします。文字を理解するためには脳はまず文字を『形』として認識し、その後で単語なり文章なりの『意味』を認識するというふたつのステップを実行します。図やグラフは描かれているもの(『形』)がそのまま『意味』を表すため脳はワンステップで意味を認識することができます。
つまり文字情報を理解するプロセスは図を理解するプロセスよりも時間がかかるのです。さらに、図は一般的に文字よりもはるかに大きいため、注目されやすいという利点もあります。
色とサイズと動き
We pay lots of attention to color.
We pay lots of attention to size.
We pay lots of attention if the object is in motion. (p195)
文字の色やサイズを工夫しましょう。動画やアニメーションはオーディエンスの注意を引き『印象に残りやすい』という点で効果的ですね。ただしアニメーションの使い過ぎは逆効果。プレゼンが終わってオーディエンスがスライド切り替え時のアニメーションの話ばかりしていたらそのスライドは失敗作だったということ。
文字・図・音声をうまく使おう
- 文字より図を多くしよう
- 文字と図は同時に表示しよう
- 関連する文字と図は近くに配置しよう
- 関連が薄いものを同時に表示しないようにしよう
- 動画を使う時は字幕(文字)ではなくナレーション(音声)の方が効果的
(P126-177、P169を意訳)
そうはいっても大事なのは
スライド作成のテクニックをいろいろと書きましたが、すぐれたプレゼンターのプレゼンは『内容がよく練られていて』、『表情やジェスチャーが豊か』で『間の取り方がうまい』んですよね。オーディエンスがスライドばかり見ていてプレゼンターに注目しないのはやはり失敗プレゼンです。話し方や表情などは練習して場数を踏まないことには上達は難しく、慣れるまでは自分のプレゼンをビデオに撮って客観的な目で何度も見るといいですね。スライドはおまけの位置づけ、ストーリー作りと話す練習にたくさん時間をかけてくださいね。