松中が松坂から3ホームランを打った日のほろ苦い思い出

今朝のサンデーモーニング・張本さんの『あっぱれ』のコーナーは松中がゲスト出演でした。西武・松坂との対戦で1試合3ホームランを放った試合のシーンが流れます。3本めのホームランは9回裏、サヨナラホームラン。かつてのヒーローがとうとうあっち側、つまり語る側にいってしまったという事実に思うところはいろいろとあり…。

2005年7月15日。
思い出される1試合3発の記憶 フリー打撃で蘇った松坂VS松中の名勝負

ピッチャーは松坂と斉藤和巳。エース同士の対決で試合前から盛り上がります。
試合は点を取ったり取られたり、松中が打てばカブレラも豪快なホームランを放ち見どころ満載。勝負は同点で9回裏を迎えます。

私はヤフードーム(当時)でこの試合を観戦していたのでした。

このところドームに足を運んでも白星風船を持ち帰るさびしい日が続いていたのです。この日も「延長戦だろう」と思いつつ球場の売店前を走り回っていました。

どうして試合終盤、大事な時に裏を走り回っていたのかというと。
携帯をなくしてしまったのです。たぶん入れ替え時に観客席から裏へ出たときにどこかで落としたんだろうと。

やはり松中はヒーローだった

立ち寄ったと思われる場所をうろうろしていると観客席の方から歓声が聞こえてきました。通路に設置されているモニターを見ると松中が打席に入ったようです。勝利を期待しつつも頭の中は携帯のことでいっぱい。今日はもう2本も打ったのだからこの打席は何もないな、と勝手に判断してなおも捜索を続ける私。まったくファンとしてあるまじき行為です。

今度はさっきと桁違いの大歓声が聞こえてきます。「これはただごとではない。何か起きてる。」さすがにそう感じた私は急いで自分の席に戻るとグラウンドもお客さんも大盛り上がりのお祭り騒ぎ。仲間に尋ねると松中が3本目のホームランを打ったこと。サヨナラ勝ちをしたこと。そして「どうして今日一番の見どころにいないのさ!」と。確かに確かに。みなさまごめんなさいです。でも私には私の事情があってね。。。と声は小さく態度も小さく。

帰り際に球場のインフォメーションに立ち寄るも私の携帯はありません。念のため連絡先を伝えてバスの長い行列に並びます。周りが幸せそうにしている中で自分だけ取り残された気分。

そして奇跡は起きる

インフォメーションから電話がかかってきたのです。機種名や色を確認するとどうやら私のっぽい。急いで球場に戻りインフォメーションに駆け込むとそこに置いてあったのは間違いなく私の携帯。

いまさらですが届けてくださった方にほんとうに感謝の気持ちでいっぱいです。もうね、野球ファンバンザイ!福岡バンザイ!ホークスバンザイ!です。沈んでいた気持ちがぱあっと晴れて、最終バスが出てしまったために乗ったタクシーの中で「サヨナラ勝ち!」「松坂から打った!」「なくしものが見つかった!」とトリプル大興奮。

そんなこんなで久しぶりの白星風船を打ち上げることができ、終わりよければすべてよしの大ハッピーな1日だったのです。

10年経っても鮮明に覚えているのは、松中の偉業が『自分の気持ちがアンハッピーからハッピーに変わった事件』とセットで記憶されているからなんだろうな。今でも松中・松坂対決の話が出るたびに携帯なくしたことをつつかれます。