3月26日の新聞広告に脳に関する本が出ていましたよ。
『脳が認める勉強法』
『brain rules』が脳のしくみを幅広くカバーしているのに対して『脳が認める勉強法』は勉強法に特化した本のようです。読んでみると両者に共通する記述は多く、どちらの本も脳科学の分野においては広く知られていることが書かれています。
記憶を定着するために
少し視点を変えて、指導する側の心構えをまとめておきます。
学校や塾の先生、スクールの講師といった教育に携わる人だけでなく、会社やサークルでメンバーに指示をするようなときにも役に立つと思います。
Start with a compelling introduction (p140) – つかみを工夫しよう
相手の興味を引きたいときは最初にインパクトを与えられるかどうかが勝負の分かれ目。別に戦わなくてもいいんですが。タイミングの原則というものがあります。新しい情報が長く記憶に留まるかそれともすぐに忘れてしまうのか、というのはその情報に出会った時、それも最初の30秒間のインパクトに左右されます。
Create familiar settings (p141)
学習する環境と学習する内容はそろえたほうが内容が頭に入りやすい。いつもの教室で理科の授業を受けるよりも理科室で授業を受ける方が効果的ということです。実験でなく座学だとしても。
At the moment of learning, environmental features – even ones irrelevant to the leaning goals – may become encoded into the memoriy, right along with the goals. Environment then becomes part of elaborate encoding, the equivalent of putting more hndles on the door (p141-142)
Allowing time between repetition is better than cramming. (p156)
何時間も休まずに勉強するよりも時間をおいて繰り返す方が効果的。
The way to make long-term memoru more reliable is to incorporate new information gradually and repeat it in timed intervals (p159)
パソコンにはメモリという電源を切ると内容が消えてしまうタイプの記録装置とハードディスクという電源を切っても内容が保持されるタイプの記録装置を持っています。パソコンで作業が終わったら最後に保存をしてから電源を切ります。
脳にも一時的な記憶エリアと長期的な記憶エリアがあります。情報はまず一時記憶エリアに格納され、その中の一部が長期記憶エリアに移動します。長期記憶エリアに入った情報は長く記憶に残ります。
記憶を定着させるためには情報を積極的に長期記憶エリアに移す、つまり『長期記憶エリアに保存』してあげればいいのです。脳にとっての『保存』は『時間をおいて繰り返す』こと。指導する立場だったら繰り返すための時間を作ってあげるといいですね。
好奇心はパワーを引き出す原動力
いくつになっても好奇心旺盛な人は若々しい、などと言われます。新しいことを知るとそのたびに脳は新しい神経細胞[ニューロン]を作り脳内にはりめぐらされた神経ネットワークを更新します。いくつになっても、年齢にかかわらず脳は活性化するんだそうです。
新しい知識に触れる・美しいものを見て感動する・会いたい人に会いに行く…新しい刺激は脳にとっても心の安定にとっても大切なこと。気になったことはすぐにトライしてみるという姿勢が充実したハッピーな人生を運んでくれそうですね。
おしまい。