パソコンを使うと疲れてしまうあなたへ

仕事でパソコンを使い始めた人から「すぐに疲れてしまうので何か対策はありませんか」と相談されることがあります。そこで今日は「パソコンで疲れないための対策」について書いてみます。パソコンでなくスマートフォンで疲れてしまう場合も対策はほとんど同じです。


目の疲れ

パソコン系の疲れで一番よく耳にするのは「目」の疲れですね。

まばたきしてますか?

これまでパソコンやスマートフォンをあまり使っていない人が急にパソコンに触れる時間を増やしたとき、画面を凝視しすぎてまばたきを忘れる傾向があるようです。まばたきをしないと目が乾燥するのはご承知の通り。1秒たりとも画面から目が離せない、そんな気持ちはわからなくはないですが、どうぞまばたきをしてください。ときどき(30分に1回とか1時間に1回とか)ぎゅーっと10秒くらい力を入れて目を閉じると、涙が補給され目の周りの筋肉もほぐれて楽になります。

睡眠不足ではないですか?

睡眠不足のときは脳も含めて体のさまざまな機能が衰えているため、集中して画面を見つめるパワーが普段以上に必要です。つまり、同じ時間画面を見ていても普段よりも体力を使っているということです。疲れやすくなるのはあたりまえなのです。できれば一度たっぷり睡眠をとって体をリセットしたいところですが、それが難しい場合は意識して肩の力を抜いてパワー半分のつもりで画面に向かうと良いです。集中力を長時間持たせるための、スローランニングのイメージで。

ピントは合っていますか?

私の周りでは、ピントが合ってないことが原因で目が疲れている人が意外と多いのです。デスクワークの場合、環境にもよりますがパソコンと目の距離はだいたい40cm~60cmくらい。遠くを見るためのメガネやコンタクトレンズを使用していると、メガネやコンタクトレンズは遠くが良く見えるように調整されているため近距離にはピントが合っていないことが多々あります。微妙に合わない程度なら慣れてしまって気づかないかもしれませんが、ピントが合わないまま物を見続けると目には相当な負担がかかっているのです。

さてどうするか、です。

メガネのレンズの種類の一つに「アシストレンズ」というものがあります。遠近両用メガネのようにレンズの上下を分けて加工することができるレンズです。上の部分を遠くを見るための度数、下の部分は近距離視力に合わせた度数に加工することでパソコンを使う時の目の負担が軽減されるという仕組みです。遠近両用ほどレンズの縦の長さはシビアでなく、かなり細身(という言い方が正しいのか?)のデザインでも対応できると眼鏡屋さんはおっしゃっていました。

私はこのアシストレンズメガネを数年前から使っていて、かけるとよく見えるという実感はあまりないものの、はずしてもう一度パソコンの画面を見ると明らかに見え方が違うので何らかの効果はあるように感じています。

遠距離用と近距離用を組み合わせたと聞くと遠近両用そのものみたいに聞こえますが、アシストレンズは遠近両用レンズとは全く別のものなんですって。このような機能を持つレンズは複数のメーカーから出ていますので、おそらくどんな眼鏡屋さんでも対応できると思います。パソコン用メガネといえば「ブルーライトカット」と思われがちですが、ピントを合わせることはもっと大切ですよ。

首が痛い

首が痛いときはディスプレイを見る角度に問題があることがほとんどです。

デスクトップパソコンを使っていた時はディスプレイを見上げる角度になるためによく首が痛くなりました。微妙に見上げる姿勢は首に負担がかかるんですよね。微妙にステージを見上げるとか、微妙にリングを見上げる位置で2時間も過ごすとそのあと数日首が痛いのと同じです。

ノートパソコンの場合は見下ろす角度になりますが、下すぎるのも首に負担がかかります。机の上や膝の上でタブレットやスマートフォンを見続けると疲れるのは下を向きすぎているんですね。

目と首が疲れないベストなポジションは首を傾けずに目線だけ下向きで画面が見える高さです。椅子に高さの調整機能があれば活用していただいて、なければ椅子にクッションを敷いて高さを合わせましょう。私は正座してパソコンに向かうことも多いです。正座はかなり高さが稼げますからね。

手首が痛い・肩が痛い

キーボードやマウスの使い方によっては手首や肩に負担がかかります。

キーボード

手首が浮いていませんか? 肩に力を入れすぎていませんか?

デスクトップとノートではキーボードの感じが違いますが、いずれにしても手首は浮かせず机やノートパソコンにつけたままで楽をしましょう。無理な姿勢で長時間過ごしているとやがて腱鞘炎になってしまうかもしれません。また、キーボードを打つときに肩が上がっていると肩や腕が疲れます。そんなに上半身に力を入れなくてもキーは打てますのでリラックスしてパソコンに向かいましょう。

マウス

マウスも使い方によっては手首や腕が疲れたり腱鞘炎になってしまうことがあります。

マウスの位置を見直そう

ショップではお行儀よくマウスがキーボードの真横に置いてありますが、その位置が身体にとって適しているとは限りません。マウスばかり使うような作業をするときは、マウスはもっと遠く、たとえばディスプレイの真横にある方が使いやすいことも。ディスプレイの真横にマウスを置くと腕を伸ばすような格好になります。作業スペースの広さによりますが、手首から肘の手前(前腕と呼ぶそうです)までを机の上に載せてしまうと腕がとても楽ですよ。

また、頻繁にキーボードとマウスを行ったり来たりするような作業の時は、マウスはキーボードのすぐそばにあった方が移動量が少なくてすみます。使い方によってマウスの位置を変えてみてください。

ウインドウの配置を見直そう

複数のウインドウを操作するときには、よく使うメニューやボタンの場所を眺めて、マウスの移動が少なくなるようにウインドウの位置やサイズを並べ替えましょう。アプリが起動したときのウインドウ配置をそのまま使っている人を見かけますが、これは地味ながら疲労軽減にかなり効果的があります。目線の移動も減りますし、作業時間の短縮にもつながります。キーボードとマウスを併用する作業であれば、ショートカットキーを駆使するのも移動を減らす一つの方法です。

マウスの持ち方

キーボードのところでも触れましたが、マウスを使う時も手首は浮かせず机につけたままにしましょう。手首を浮かせるメリットは何もありませんので。そして握る力ですが、マウスを使うのに力は必要ありません。手を添える、指を添える程度の力で十分に扱えます。力を入れすぎると腕の痛みや肩凝りの原因となります。

疲れたら動こう

それでも疲れてしまったら、席を外して他の場所の空気を吸ってリフレッシュしましょう。屋外に出られればベストですが、外に出られないときは隣の部屋やトイレに移動するだけでもOKです。状況が許せば階段の上り下りなどして足を動かすとよりリフレッシュ効果が高くなります。

首が疲れたら手を組んで頭の上にのせ、ゆっくり下を向きます。首の後ろから背中にかけてのストレッチをしましょう。勢いよく下を向くと首を痛めたり気分が悪くなることがあるのでゆっくりでお願いします。次にゆっくり真上を向いて数秒間そのままに。

目の周りをほぐすマッサージや肩のストレッチなどはいろいろな方法がありますので、実際にやってみて自分に合ったものを見つけておくといいですね。それでも疲れが取れない時はお風呂に入って寝てしまうのが一番です。おつかれさまでした。