THE POWER OF HABIT-最終回 行動をhabit-loopに当てはめてみる

If you believe you can change – if you make it a habit – the change becomes real. This is the real power of habit. (p273)

初回に私の「新しく始めたいこと=習慣にしたいこと」と「止めたいこと=習慣を変えたいこと」をいくつか挙げました。2か月ちょっと経って本を読み進めている間「習慣を作りたい・変えたい」がどうだったのかまとめてみます。

habit-loopで考えてみよう

「習慣を作りたい・変えたい」と考えたことをhabit-loopに当てはめてみます。それぞれのcue、routine、rewardとcravingを整理しました。

早寝早起き→今のところ習慣にできていない

  • cue : ?
  • routine:決めた時間になったら行動する(起きる・寝る)
  • reward : ?
  • craving : ?

1日1時間歩く→習慣になった

  • cue :作業の区切り
  • routine :犬の散歩に行く
  • reward :自分の気分転換&犬が喜ぶ
  • craving :体を動かしたい

メールチェックを1日2回程度にしたい→習慣になった

  • cue :?
  • routine :スマホのメール着信音をOFFにする
  • reward :作業を中断されずに済む
  • craving :?

 

  • cue :メールチェックをすると決めた時間
  • routine :メールチェック
  • reward :気分転換&連絡事項の確認
  • craving :?

改めて書いてみると「早寝早起き」はroutineだけが決まっていてcue、reward、cravingがありません。何かを始めたいときにrewardとcravingは必須なはずなのに。結果、習慣化することに(今のところは)失敗しています。

「早寝早起き」のrewardとcravingって何だろう。「出勤時刻から逆算して起きる」というのは他力であって自分の意志ではないのでrewardでもcravingでもないし。「明日早いから早く寝よう」もしかり。自分にとってのrewardとcravingが見つけらなければ永遠に早寝早起きは無理っぽいです。

起床や就寝の時刻と睡眠時間については今読んでる本に脳科学な観点からのアドバイスが載っているのでそれも参考にしながらrewardとcravingを探そうと思います。

一方、歩くこととメールチェックは新しい習慣になりました。このふたつは上に挙げたようにhabit-loopの要素が概ね決まっています。習慣化するためにはやはりhabit-loopの要素をきちんと考えたうえで「実行するぞ」という強い意志をもつことが大切。それを実感しています。

おさらい

新しい習慣を身につける、または習慣を変えるために欠かせない4つのステップを確認してみます。

  1. routineを考える。新しく行動したいことや止めたい行動をクリアにする。
  2. rewardを考える。行動したときに感じているrewardは何だろうか。
  3. cueを見つける。そもそもどんなタイミングで「○○したい」という気分になるのか考える。
  4. 計画を立てる。新しいroutin、cue、rewardを実行するための具体的な行動パターンを決める。

自分の行動を分析するときは

  • 場所
  • 時間
  • その時の気分
  • ひとりでいるのか他の人と一緒なのか
  • その時何をしていたか

を考えます。例えば会社にいるときなのか、家にいても同じなのか。いつも同じ時間にその行動をしてしまいがちなのか、それとも特に時間は決まってなくて1日に何度もする行動なのか。こういった自分の行動パターンを整理すると(書き出すといい)rewardやcravingを見つけるときの手掛かりになります。

行動すべきパターンが決まったらその通りに行動すればいいのですが、結果を急がないほうがよさそうです。行動の内容によっては半年とか数年かかる場合もあるとか。必ず習慣は変えられると信じて、続けることが必要なんですね。まさに継続は力なり。

But once you understand how a habit operates – once you diagnose the cue, the routine and the reward – you gain power over it. (p298)

おしまい。

THE POWER OF HABIT-9 Facebookの「友達の友達」が意味するところ

Facebookの公開範囲「友達の友達」

Facebookでは自分の投稿の公開範囲を自由に設定することができます。

  • 公開:誰でも、Facebookにアカウントがなくても投稿を読むことができます。
  • 友達のみ、カスタム:相手を限定して投稿を公開したいときに選びます。

そしてもうひとつ「友達の友達」というステータスがあります。投稿をオープンにしたければ「公開」、相手を限定したければ「友達のみ」や「カスタム」を選べばいいではないですか。なぜ「友達の友達」という中途半端なステータスがあるのかずっと不思議に思っていました。

social habit:社会的な習性

あなたは企業の経営者であると仮定します。日頃親しくしているAさんから「仕事を探している」と聞いたらなんと答えますか?

  1. Aさんを採用すべきか否かは比較的簡単に結論が出るでしょう。
  2. 求人広告を見て連絡をくれたBさん。あなたとBさんは面識がありません。Bさんを採用すべきか否かは面接をしてみないと判断できません。
  3. Aさんから紹介されたCさん。あなたとCさんは面識がありません。

BさんもCさんも面識がない点では同じです。この時点であなたはBさんとCさんそれぞれに同じ印象を持ちますか?

 

weak-tie:ゆるやかなつながり

あなたはCさんがどんな人なのかを知りません。あなたとAさんの関係が良好ならどちらかといえばCさんに対して好意的に考える可能性が高いです。

  • Cさんは社会人としての常識を持っているだろう。
  • Cさんはおそらくうちの会社に適しているだろう。

あなたとCさんのような関係を「weak-tie(ゆるやかなつながり)」と呼びます。

人の社会的な習性として、実際には知らない人なのに「ゆるやかなつながりがある人」に対しては「親しい人」と同じくらい「親しさ」や「信頼感」を感じる傾向があるそうです。

Our weak-tie acquaintances are often as influential – if not more – than our close-tie friends. (p224)

そして人は「親しい人」よりも「ゆるやかなつながりがある人」からの影響を受けやすい。「親しい人」から得られる情報は限られている。でも「ゆるやかなつながりがある人」の数は圧倒的に多くてそのバックグラウンドも様々。だから「緩やかなつながりのある人」から得られる情報の方が多いんですって。

 

改めて、「友達の友達」の意味

以上のことから「情報の収集と拡散」という観点でFacebookを考えると「友達の友達」ステータスの存在意義がわかるような気がします。

情報を広めるためには企業が直接宣伝するよりも「ゆるやかなつながりの人」を利用したほうが拡散効果は高くなります。受け取る側も「なんとなく知ってる人」からの情報であればなんとなく受け入れます。

Facebookの仕組みをチャンスと考えるか利用されたくないと考えるかは人それぞれ。あなたはどちらでしょうか。

つづく。

THE POWER OF HABIT-8 ディスカウントストアとビッグデータ

こだわりの買い物と惰性の買い物

お買い物をするときあなたはどちらのタイプでしょうか。目新しいものが好きで新製品にはすぐ飛びつくタイプ?あるいは自分のこだわりを大切にして検討に検討に重ねてお気に入りを迎えたい方でしょうか。

長い期間使うものや家電などは私もこだわってあれこれ調べます。こだわりすぎて何年も買えない時もあったりしますがまたその過程も楽しい。それとは別に、深い理由があるわけではないけれどいつも同じものを選んでしまう商品があります。

例えば洗剤について考えてみます。私は洗濯用洗剤は液体の「さらさ」をもう何年も使い続けています。「冬、水が冷たいと粉末洗剤の溶け残りが気になるから液体がいい」という要望と「中性洗剤はアルカリ性洗剤(大抵の洗剤は弱アルカリ性)より繊維に優しいという記事を読んだ」が頭にあってたまたま見つけたのが「さらさ」でした。

もしかしたら他にもっといい洗剤があるかもしれません。でも取りたてて不満はないし面倒だから当面はこのままでいると思います。とはいえ頂き物の「部屋干しトップ」が家にたくさんあるので天気が悪い時などはありがたく使わせていただいています。ね、一貫性がないでしょ。

こういう買い方を「惰性による買い物」と本の中では呼びます。そしてみんなが「惰性による買い物」ばかりしていたら新しい商品が売れません。新しいもの・いつもと違うものを手に取ってもらうために、つまり消費者の「買い方についての習慣」を変えるために企業が行っていることを見ていきます。

生活スタイルが変わる時

就職や結婚、引越しを機に今までとは違う新しいものに興味を惹かれることはよくあります。また生活スタイルが変わると必需品の内容が変わってきます。例えば転職で職場のドレスコードが変わるとクローゼットの見直しが必要になります。服が変われば小物類もそれに合わせて増やしたり減らしたり。

物を売る立場から考えてみます。顧客の生活スタイルの変化に伴う新しいニーズを事前に察知することができたらどうでしょう。購入を検討しているときに「うちではこれがお薦めですよ。ご一緒にこちらもどうですか」とその人が欲しいと思っているものを適切なタイミングでアピールできたら?

ターゲットとビッグデータ、隠れたニーズを探せ

ターゲットというのは全米に多数の店舗を構える総合ディスカウントストア。90年代の終わりごろから統計の専門家を雇って膨大な量の顧客の購入履歴を分析させ、新たな購買につなげるための個別広告戦略に取り組んできました。

To a statistician, this data was magic window for peering into customers’ preferences. (p183)

このときターゲットが注力したのはまもなく子供が生まれそうな家庭を見つけること。子供の誕生というライフイベントはターゲットにとって大きなビジネスチャンスのスタートなのです。

出産準備品から始まって子供の成長に伴って必要なものはどんどん増えます。購入に先駆けて先手先手で広告を打てればターゲットを利用してもらえる確率は高くなりますね。少なくとも顧客の「惰性による買い物」に刺激を与えるきっかけとなります。

when someone suddenly starts buying lots of scent-free soap and cotton balls, in addition to hand sanitizers and an astounding number of washcloths, all at once, a few months after buying lotions and magnesium and zinc, it signals they are getting close to their delivery date. (p194)

この戦略の新しさ(当時)は「顧客が欲しいと思っている商品」を売り込むのだけではなく「顧客自身が気づいていないニーズに焦点を当てようとした」という点です。Chapter7のタイトル「How Target Knows What You Want before You Do」はこのことを指しています。

分析の精度が上がるにつれ売上は伸びていきました。けれども顧客の中には今でいう「個人情報の侵害」と不快感をあらわにする人も出てきます。企業がどこまで個人の私生活に踏み込むことが許されるのか、これは「ビッグデータ活用」が当たり前となっている現在でも常に考慮すべき重要なテーマです。

私たちの身近にも

例えばアマゾンで商品ページを見ると。「この商品を買った人はこんな商品も買っています」や「最近閲覧した商品とおすすめ商品」というコーナーがあります。アマゾンの売上データの中から今見ている商品と同時に売れた商品をピックアップし、あるいは最近自分がチェックした商品と同時に売れた(または同時に閲覧されている)商品をピックアップし表示しているのですね。

これらはすべて消費者の「無意識のニーズ」に訴えかけてより多くの商品を買ってもらおうという仕掛けです。Aというひとつの商品を選択した時にAと同じジャンルの商品は何か、Aと同価格帯の商品は何か。Aを購入した顧客が他に同時に購入した商品にはどんなものだろうか。

このような様々な切り口からデータを分析し「Aを買った人は高確率でこの商品も気に入るだろう」とシステムが判断した商品が「この商品を買った人はこんな商品も買っています」であり「最近閲覧した商品とおすすめ商品」に表示されているのです。

ビッグデータの活用は日本では2011年頃から注目され始め、今ではあらゆるジャンルの商品・サービスの販売において欠かせない経営戦略のひとつです。それ以前はDWH(データウエアハウス)と呼ばれるシステムが一般的でした。

DWHの頃は商品名や金額などのテキスト・数値データが中心でしたがビッグデータはそれに加えてメールのデータや画像データなど扱うデータの種類が多岐にわたります。いずれにしてもシステムの構築が最終目的ではなく、集めたデータを経営者がどのように活用していくかが重要なのですね。

余談ですが初めて「データウエアハウス」という言葉を聞いた時「データウエア・ハウス」と解釈して意味が分からなーい???と困っていたことを思い出しました。正しくは「データ・ウエアハウス(データが入っている倉庫)」ですね。今となっては笑える思い出です。

つづく。

THE POWER OF HABIT-7 【番外編】読みやすいフォントのこと

今回はちょっと脱線。

やっぱりフォントは重要です

だいたい2/3ほど読んだところです。前にも書いたような気がしますがこの本読みやすいのです。英語が簡単なのか内容が面白いのかフォントが目に優しいのか…

いろいろと読みやすい理由を考えながらここまで進んできてますが、今日ぱらぱらと本を眺めていたら読みやすさの秘密を発見しました。本の一番最後、付録も索引も著者情報も通り過ぎた本当に最後に「ABOUT THE TYPE」というページがあるのでそのまま引用します。

This book was set in Scala, a typeface designed by Martin Majoor in 1991. It was originally designed for a music  company in the Netherlands and then was published by the international type house FSI FontShop. Its destinctive extended serifs add to the articulation of the letterforms to make it a very readable typeface.

Scalaというフォントが使われているんですね。Scalaはセリフ系の有料フォントでデスクトップ版、web版(サーバー用)ともに65ドル。いくつかスタイルバリエーションがあり、この本で使用されているのは基本のスタイルで下の画像の濃いブルーのところの文字だと思います。

220px-FFScalaSpecimenAIB.svg

※画像はWikipediaより

フォントの読みやすさによって読書中の効率や印象がこんなにも違うのかと改めて思いました。このブログもブラウザによって全然違うフォントになってしまうのでどのブラウザでOKとするのかは難しい問題です。

ブログを書き始めたころはブラウザによって意図したデザインが表現できないことに頭を抱えたものですが私はFirefoxを愛用しているのでFirefoxで自分が納得すればOKと割り切ることにしました。

Scalaの関連リンクを貼っておきますね。

Wikipedia(英語)

Myfonts(フォント販売サイト、英語)

つづく。

THE POWER OF HABIT-6 組織にはびこる悪習慣をなんとかしたい

悪習慣が引き起こす問題

Chapter6には「組織内の悪い習慣」が引き起こした問題、悲劇といってもいいような実話が出てきます。

ニュースで「○○は暗黙の了解だった」「○○するのが慣例となっていた」ことが事故や事件の原因である話はよく耳にします。「○○してしまうのは会社の体質」というコメントはまさに社内に「悪習慣」といえる業務の進め方があったことを指しています。データ改ざん、不正会計といった不祥事も悪習慣に基づいた行為の結果と言えますね。

組織全体がうまく機能するために、部門や作業グループ内のメンバーに対して一定の権限を与え、他部門や他メンバーにその権限を侵害させないような体制を取っていることがよくあります。仕事に対するモチベーションを高め、効率良く作業を進めるためにはそれぞれに権限を与えることが必須だからです。

ところが危機が訪れた場合には「他の権限を侵害させない」ことが仇となります。他メンバーや他部門、第三者からのチェックや制止機能が働かずに危機を大きくしてしまうという恐れがあります。

  • 順調な時 → 決められた権限の範囲で仕事を進めることが最も効率的
  • 危機が発生した時 → 他者からのチェックやサポートは権限を越えた行為にあたるため発覚が遅れたり発覚しても制止することが困難

How can an organization implement habits that balance authority and, at the same time, choose a person or goal that rises above everyone? (p175)

危機から学べることは多く、状況を適切に改善できる組織だけが生き残れるのです。

悪習慣を改善するには

社員が「このやり方は良くない」と思っていたとしてもそれが上司の命令や社内の慣例だったらなかなか正すことは難しいです。組織の悪い習慣を改めることができるかどうかはどうしてもトップの考え方や手腕にかかってきます。

優れたトップは問題が発生したり、発生しそうなときにいち早く気づき改善策を打ち出します。できれば問題に直面したくはないですが、問題に直面した(しそうな)時ほど現状をより良くするチャンスなのです。

You never want a serious crisis to go to waste. (p180)

「トップの考え方や手腕にかかる」といってしまうと身も蓋もない感じがします。自分はトップやリーダーじゃないからどうにもならないと思ってしまうかもしれません。

でも、組織の目指すところは皆が共通に認識しているはずです。その目標に到達するうえで必要なこと、不要なこと、改善すべきことを権限の範囲内で訴えることは可能なんじゃないかと思います。

…というのは理想論かもしれないですね。組織や立場によりますね。意見を受け入れてもらえる、改善策を提案する権限が持てるような組織で働きたいです。

つづく。