THE POWER OF HABIT-5 権限とモチベーションの関係

2016年明けました。明けてからは暖かい日が続き連日お散歩日和!とはいうものの犬のヘルニアの回復が思ったほどではなく、陽だまりでのんびりと静養(いつもの昼寝)している姿を見ながらまったり過ごしています。

下の写真は今部屋に飾っているお正月用アレンジ。私の2015年のテーマカラーが青味がかったピンクだったのでお花も同じ色を選びました。梅がだんだん開いてきて前を通るたび瑞々しい香りにはっとします。

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さて、新年最初はPower of Habitの続きです。

willpowerとself-discipline

  • willpower : 意思の力
  • self-discipline : 自主性

新しい習慣を身に付けようとするとき、あるいは悪習慣を断ち切りたいときに必要なのは先に挙げたwillpowerとself-disciplineです。「意志の力」ってそのまんまやん!と突っ込みたくなる単語ですね。

意志力を高めるためにはどうしたら? 自主性を高めるためには?

スターバックスの従業員教育システムは、従業員の意志力・自習性を高める(そしてそれは顧客満足度を高めて企業の利益となる)ことを重視してプログラムが組まれているそうです。

サービス系の企業では顧客の要望や不満への対応の仕方はマニュアル化されている企業も多いと思います。はじめてサービス業で働くときに、天性のコミュニケーション力を持っている人はいいのですがそうでない人には戸惑うことがたくさん。

学生の時ミスタードーナツでアルバイトをしてました。採用が決まると相当な厚さのマニュアル(接客の基本・レジの扱い方・掃除の仕方などなど)を渡され初出勤日までに読み込んでくるようにと指示されました。

それなりに頑張って読んではみたもののやっぱり現場に立たないとピンとこないし、ドーナツひとつひとつの値段を覚えるまでには(そしてレジのキー位置を覚えるまでには)何日もかかってしまいました。

顧客対応をトレーニングするときは「行動を習慣化する」という考え方を使うと効率的です。(p145) 例えば顧客が怒っていたらその理由を聞き、問題点を解消し、感謝するという一連の行動を繰り返しトレーニングします。

顧客が急いでいたら(注文の口調や時計を見るしぐさなどから推測する)いつも以上に早くドリンクを渡すことができるれば顧客の満足度は上がります。常連客なら「いつもの○○ですね」と言葉を添えるだけで心象はずいぶん変わりますよね。

they practice those plans, again and again, until they become automatic.

This is how willpoer becomes a habit : by choosing a certain behavior ahead of time, and then following that routine when an inflection point arrives. (p146)

ここでwillpowerが出てきました。ああしたいこうしたいこうすべきと考えていることは繰り返し行動するうちに習慣にすることができます。

権限と自主性と生産性

人は自分の立場に対して何らかの権限を与えられると自主性(self-discipline)を発揮するようになります。ある工場で生産ラインの従業員に生産スケジュールの決定と作業環境の改善に対する権限を与えたところ、2か月後には生産性が20%向上し、作業中のミスも目に見えて減少したそうです。

Giving employees a sense of control improved how much self-discipline they brought to their jobs. (p151)

逆に上からの指示通りの作業しか認められなければwillpowerを持続することは難しくなります。

If they feel like they have no autonomy, if they’re just following orders, their willpower muscles get tired much faster. (p151)

企業や組織においてはメンバー個人個人のwillpowerやself-disciplineの度合いが組織のパフォーマンスに直結します。メンバーのwillpowerやself-disciplineを高いレベルでキープするための手段としてメンバーに一定の権限を与えることは非常に効果的なのだそうです。

「やらされている仕事」と「自分たちで考えてする仕事」のどちらが高いモチベーションをキープできるか、違いは明らかですよね。

つづく。

THE POWER OF HABIT-4 たくさんの習慣を変えたいときはkeystone habitから始めよう

今日は「組織におけるhabitとhabit change」について見ていきます。

従業員の「安全第一」を徹底すると組織の風通しが良くなる

この言葉、聞いただけでは意味がわかりません。風が吹けば桶屋が儲かる的な感じです。the Aluminum Company of America (Alcoa、アルコア、日本にも拠点があります)の新しいトップ(Paul O’neil氏)が就任挨拶で「事故を0にする」という目標をトッププライオリティとして掲げます。「事故を0にする」ことの狙いは何でしょう。

I knew I had to transform Alcoa. But you can’t order people to change. That’s not how the brain works. So I decided I was going start by focusing on one thing. (p100)

keystone habit

habit changeにおいて「focusing on one thing」はとても重要です。最優先で取り組むべき行動を選択し、まずその行動を習慣となるよう努力します。

最優先に取り組んだ行動のことを「keystone habit」と呼びます。keystone habitが確実に機能するようになると、続く第2、第3の取り組むべき課題に対して自然と行動できるようになるんですって。

「事故を0にする」ためのhabit loop(p106)

  • cue : 作業中の事故が発生する
  • routine : 事故が発生したら部門のトップは24時間以内に事故の報告とともに改善・予防策をCEOへ報告する
  • reward : この報告システムを忠実に遂行する者には昇進の機会が与えられる

大企業の部門トップ(部長とか事業部長のイメージ)は忙しい(大企業でなくてもみな忙しいでしょう)ので部門内のコミュニケーションがスムーズでないととてもじゃないけど24時間以内に報告するなんて無理です。

システムが軌道に乗り出す(業務改善)につれて社内全体の風通しが良くなりました。事故の報告だけでなく様々な意見や提案なども職位を超えて活発に交わされるようになったということです。

Workers starts calling (to O’Neil), but they didn’t want to talk about accidents. They wanted to talk about all these other great ideas. (p117)

Keystone Habitとダイエット

ダイエット(weight loss)においてkeystone habitはとても効果があるそうです。食べたものを記録する「レコーディングダイエット」というダイエット法がいつだか流行りましたよね。体重を減らすために必要なことはカロリーコントロールと適切な運動です。

痩せなくちゃ!というと人間の心理としては

  1. 食べる量を減らし
  2. 食べるものを変えて
  3. ジムに入会して
  4. エスカレータは使わず階段を使い
  5. 電車はひと駅前で降りて歩き

…いろいろなことを始めたがります。ダイエットが長続きしないのは「たくさんのことを同時に始めようとする」からだそうです。

keystone habitをダイエットに応用する

まず「週に1回、その日食べたものを記録する」ことに取り組みます。最初のうちは記録を忘れたり、食べたものを忘れたりするかもしれません。めげたり自分を責めたりせずに続けるとそのうち記録をつけることが習慣となります。

「週に1回食べたものを記録する」がkeystone habitになったら次の変化が訪れます。毎日記録したくなったり、自分の食の傾向を気にしたりと一歩進んだ行動が自然にできるようになるそうです。

さらに寝る前には食べないとか朝食には野菜を必ずとるといった、より健康的な食生活に目を向けるようになります。一度にすべて頑張ろうとしなくてもkeystone habitが固まれば、残りの行動は後から自然とついてくるということですね。

つづく。

THE POWER OF HABIT-3 身についてしまった習慣を変える方法

一度身についてしまった習慣を変えるには何をしたらいいのか

NFLのTampa Bay Baccanees(タンパベイバッカニアーズ)、1996年頃の話ですが負け負け負けの弱小チームでこの16年間勝ったことがない。そんなチームに新しいコーチが就任しました。

彼のポリシーは「選手たちにはアメフトの基本の動作を忠実に実行してもらう。相手チームよりも素早いアクションができるように、頭で考えるのではなく状況に応じて自然と体が反応できるようになるまでトレーニングを続ける。」というものでした。

アメフトの動きをHabit Loopに当てはめると

  • cue:相手がパスをしようとしたり、マークしている選手が動き出そうとしているの認識すること
  • Routine:cueに対応するための動作(パスをもらいに動く、相手を止めようと動く、等)
  • Reward:パスを受け取る、相手のオフェンスを止める、タッチダウン等

が考えられます。

How it works : use same cue. Provide the same reward. change the routine. (p63)

勝てないバッカニアーズが強くなるためには今までと何かを変えなければなりません。コーチはcueとrewardは変えずに間のroutineを変えるよう選手たちに指示します。

to change a habit, you must keep the old cue, and deliver the old reward, you can shift the routine and change the habit. Almost any behavior can be transformed if the cue and reward stay the same. (p62)

習慣を変えたいときは(止めたいときは)cueとrewardそのままでroutineの部分を他の行動に変更します。「そのroutineはcravingを満たしているか?」の質問にYesと答えられるならそのroutineは正解。身についてしまった習慣を変えることができます。と著者チャールズは断言します。

habit changeの実例

代替routineを探すときにはcravingが何なのか見極めることが重要になります。cravingが満たされないといつまでたっても悪習慣を止められないのですね。

仕事中の休憩と称してついついドリンクスペースに行きお金を使ってしまうのを減らしたいとします。ドリンクスペースで何をしたいのかを考えます。喉が渇いているならドリンクを飲むのは正当な行動ですね。でも息抜きに誰かと話がしたいのだったらドリンクスペースに行かなくても同僚の席まで出かけて行って二言三言話しかけるだけでもしかしたらそのcravingは満たされるのかもしれません。

私の止めたい習慣の一つ「ついついメールチェックをしてしまう」を考えてみます。メールで仕事の連絡が来るのでチェックを全くしないのは難しいですが問題はメールチェックのあと。だらだらと届いていたメルマガを読んだり、メルマガに引用されているサイトを見に行ったりとそれまでの作業を中断しさらに無駄な時間を過ごしてしまう状況です。

この場合Habit Loopはこんな感じです。

  • cue : メール着信の音が鳴る
  • routine : メールチェックのあとにだらだらとネットやメールをしてしまう
  • reward : 本来するべき作業の時間が圧迫される(これは悪い結果を招くreward)、本来の作業から離れることによるリフレッシュ(こちらは良いreward)

次にcravingを考えます。本当に集中すべき急ぎ作業をしていればメールチェックを終えればすぐに作業に戻るはずです。作業が一段落したタイミングだったり疲れを感じていたとすれば、メールチェックの後の無駄時間というのは気分転換(あるいは逃避)のつもりで無意識に行う行為かもしれません。だったら自分で明示的に「ここで休憩」と宣言して本当に休んでしまえばいいのです。コーヒーを飲むとか少し歩いてみるとか。

というわけでまとめると(まとめたら当たり前すぎました)

  • メールチェックをするタイミングをあらかじめ決めておく
  • 1時間集中したら10分休むというように休憩のタイミングをあらかじめ決めておく

とすると「メールをチェックしなければ」と「気分転換」の両方がうまくいきそうですね。

プレッシャーとhabit change

新しいコーチの元で訓練を重ねバッカニアーズはやがて「常勝チーム」と言えるほど強い集団に変わりました。ここで一つ問題が。プレッシャーのかかる場面になるとそれまでできていた「習慣になったはずの無意識の行動」ができなくなってしまうのです。選手たちは忘れたはずの、封印した「思考」に悩まされることになります。「思考」のち「行動」ではどうしても相手の動きに遅れてしまうのです。

habit changeにはもうひとつ欠かせない要素があります。それは「believe」です。「習慣は変えられる」「自分にはできる」という強い気持ちが必要です。そして強い気持ちを持つためには同じ目的を持つ人たちが集まるグループに属することが効果的だそうです。

バッカニアーズの選手たちはある悲劇がきっかけとなって「強いbelieve」を持てるようになりそれまで以上に「強いチーム」となりました。どんな事件が起きたかは本書を読んでいただくとして、本章のまとめは次のとおりです。

if we keep the same cue and the same reward, anew routine can be instead. But that’s not enough. For habit to stay changed, people must believe change is possible. And most often, that belief only emerges with the help of a group. (p92)

ところで正直私はフットボールには全然詳しくないのですが、バッカニアーズの緊迫したゲームで作戦がうまくいくかどうか、選手が予定通り動くことができるかを夢中になって読んでしまいました。

この本、今まで登場したどの本よりも読みやすくて面白くどんどん読み進んでしまいます。洋書に初めてトライしようか迷っている方にはかなりお勧めしたい一冊です。

つづく。

THE POWER OF HABIT-2 願望が行動を習慣化させる

ファブリーズの失敗 – 新製品の売り出し方に学ぼう

消臭スプレーファブリーズ。修造さんがCMしてるあれです。それまで同じようなコンセプトの製品が市場になかったため使い方を消費者に啓蒙しなくちゃ売れない。そこで前回出てきたCue – Routine – Rewardコンセプトに則ってマーケティングを行います。

  • The cue : the smell of cigarette
  • The reward : odor eliminated from cloths (p41)

レストランへ出かけたら衣服にタバコのにおいが…
→ファブリーズしたら嫌なにおいが取れてさっぱり!

  • The cue : pet smells
  • The reward : a house doesn’t smell like a kennel (p41)

ペットは可愛いけど匂いが…
→犬小屋みたいな部屋の匂いがすっきり!

家の様々な匂いに悩んでいる人は多いはず。ファブリーズの消臭効果には自信があるからきっと売れるはず!と意気込んでいたP&G(ファブリーズの製造販売元)はしばらくたっても売り上げが伸びず頭を抱えます。慌ててモニターの家を訪ねてみると皆1回使ってそれっきりと言うのです。というのもご存じのように人間の嗅覚は「匂いに慣れる」という特徴があります。「匂い物質」が存在したとしてもそれに慣れてしまったら、何とも思わなくなっていたら、ファブリーズの出番はありません。

Bad scents simply weren’t noticed frequently enough to trigger a regular habit. (p43)

「匂う」はファブリーズを使用するきっかけにはなれなかったのです。

How do you build a new habit when there’s no cue to trigger usage, and when the customers who most need it don’t appreciate the reward? (p43)

こうしてファブリーズは消費者にとって使うきっかけが見つからない残念な商品となってしまいました。P&Gはどう危機を乗り切ったのでしょうか?

Julioの実験 – craving

Julioはお猿さん。日本ではチンパンジーのパン君が大人気ですね。Julioはディスプレイに映し出された図形を見たらレバーを引くよう教わります。上手にレバーが引けたら大好きなジュースをご褒美にもらいます。図形 → レバー → ジュース を何度も繰り返す訓練を続けます。最初のうちはJulioの脳の動きが

  1. 図形を見る
  2. レバーを引く
  3. ジュースがもらえる
  4. バンザイ!(喜ぶ)

だったのが訓練していくうちに

  1. 図形を見る
  2. バンザイ!(ジュースがもらえることを思い出して)
  3. レバーを引く
  4. ジュースがもらえる

に変わっていきます。「ジュースがもらいたくてレバーを引く」と新しい思考パターンが生まれるのです。そうなるとレバーを引いてもジュースがもらえなかったりあまりおいしくないジュースがでてきたりすると「期待と違う」→「不満」という感情が湧いてきます。

「ジュースがもらいたくてレバーを引く」という思考、これをcraving(願望、切望、渇望)と呼び、cravingはHABIT LOOPを形成するのに大切な要素なんですね。

But as we associate cues with certain rewards, a subconscious craving emerges in our brains that starts the habit loop spinning. (p48)

ファブリーズとcraving

ファブリーズが売れなかったのは消費者にとってcraving「使いたい!」という要素が商品にない(正確には商品のアピールの仕方が悪かった)からでした。そこでP&Gのチームは考え、再びモニターを使って商品アピールのやり方を検討します。

あるとき調査チームは『ひとりの主婦が掃除機をかけた後やベッドメイキングの仕上げにファブリーズをスプレーしている』という情報を得ます。

Spraying feels a little mini-celebration when I’m done with a room. (p53)

 

その主婦は掃除が終わった後の儀式としてファブリーズを使っていました。これを聞いてP&Gのチームは閃きます。ちょっと長いですが

Each change was designed to appeal to a specific, daily cue : Cleaning a room. Making a bed. Vacuuming a rug. In each one, Febreze was positioned as the reward : the nice smell that occurs at the end of a cleaning routine. Most important, each ad was calibrated to elicit a craving : that things will smell as nice as they look when cleaning ritual is done. (p54)

 

まとめると

  • cue : 掃除をする
  • reward : (ファブリーズの)良い香りが部屋に漂う
  • craving : 部屋をきれいにして良い香りで満たしたい

となりますね。それまでのファブリーズは消臭を目的とした無臭のスプレーでした。この発想を期に香りつきの商品が開発され瞬く間にヒット商品となったのは皆さんご存知の通りです。

Craving are what drive habits. And figuring out how to spark a craving makes creating new habit easier. (p59)

 

ところでうちにもありますがあまり登場の機会がなく、というのも

スプレーの後乾くまでに時間がかかる
→使うタイミングを微妙に選ぶ
→存在を忘れる
→habitにできてないです。P&Gさんごめんなさい。

つづく。

THE POWER OF HABIT-1 habit loopとは

THE POWER OF HABIT
– Why We Do What We Do In Life And Business –

著者

Charles Duhigg

現在はニューヨークタイムズ紙のレポーターでピューリッツァー賞受賞者。下記メッセージは著者サイトより引用。

Changing habits isn’t necessarily quick or easy. But it is possible. And now we know how.

概要

新 しい習慣を身に付けたい。そろそろこの習慣を止めたい。そんなこんなは誰にであると思うのですが、そもそもひとつの行動が「習慣」になるのはどんなメカニ ズム(?)によるものなのか。それについて真面目に取り上げた本なり記事なりを読んだことがないので手に取ってみました。

邦訳では「習慣の力」(また「力=Power」だった!)というタイトルで出版されています。表紙はこれまた原書と全然違い文字だけイラストなし。同じ本でもまったく印象が異なりますね。各国の翻訳版で装丁の違いを調べてみるのも面白そうです。

本を読んで始めたい・変えたい習慣

読後に「こうすればうまくいく」とか「こういうことに注意したほうがいい」などがまとめられるといいなと期待しています。

始めたいこと

  • 早起きと早寝
  • 1日1時間歩く ← 概ね実行できているので継続したい
  • 植物の水やりを忘れない ← 今は冬ということもあって忘れがち

変えたいこと

  • メールチェックを1日2回程度にしたい ← 受信するとスマホが鳴るのでついその場で見る ← それまでやっていたことが中断してしまう

目次

  1. THE HABIT LOOP
  2. THE CRAVING BRAIN
  3. THE GOLDEN RULE OF HABIT CHANGE
  4. KEYSTONE HABITS, OR THE BALLAD OF PAUL O’NEILL
  5. STARBUCKS AND THE HABIT OF SUCCESS
  6. THE POWER OF A CRISIS
  7. HOW TO TARGET KNOWS WHAT YOU WANT BEFORE YOU DO
  8. SADDLEBACK CHURCH AND THE MONTGOMERY BUS BOYCOTT
  9. THE NEUROLOGY OF FREE WILL

1~3まではIndividuals、4~7はOrganizations、8と9はSocietiesと大きく3つのカテゴリにわかれています。

行動と思考

行動中は常に何かを考えている、つまり頭が働いているものと思っていました。ところがそうとは限らないようです。

歯を磨くとき、たいていの人は無意識に歯ブラシと歯磨き粉を手に取ります。そして歯ブラシに歯磨き粉をつけます。

子供のときは歯ブラシに歯磨き粉をつけるのに適量がわからず困ったかもしれません。ぼたっと落とさないように気をつけたのかもしれません。でも今は何も考えなくても歯を磨けていますよね。習慣になったからです。

クルマを買い替えたばかりの時は車庫入れのときに周囲にあるものとの距離を十分すぎるほど観察したり、左折するときに後ろのタイヤを意識してみたりします(クルマ乗り換えてすぐ縁石でホイール擦ったのよ)。

やがてそんなことは意識せずに運転するようなります。これも習慣になったからです。

Cue → Routine → Reward

  • Cue : トリガー。きっかけ。ここでは「待ち行列」の意味ではありません。
  • Routine : 手順、所作、動作
  • Reward : 報酬

3つの要素を順番に何度も何度も繰り返すとやがてその行動は習慣となるそうです。これを「The Habit Loop」と呼びます。(p19)

Rewardは必ずしも良いこと(喜ぶべきこと)とは限らないので「報酬」というより「報い」という言葉の方が著書の言う意味に近いです。例えばテレビにあまり好きじゃないタレントが出てくると「イラっとする」みたいなのもRewardです。

Rewardはモノとは限らず「嬉しい」「リフレッシュできた」「悲しい」といった感情も含まれます。新しい習慣を身につけたいときはこの3点セットの繰り返しがとても有効です。

きっかけや報酬は大切

However, even these habits are delicate. When a fast food restaurant close down, the families that previously ate there will often start having dinner at home, rather than seek out an alternative location. (p27)

とはいえ「習慣」はちょっとしたことで失われることもあります。近所のファストフードに足しげく通っていたとしても、そのお店が閉店してしまったらわざわざ同じチェーンの他の店ヘは通わない人が多いそうです。

この場合はきっかけ(cue)がなくなったと考えます。だから

By learning to observe the cues and rewards, though, we can change the routines. (p27)

きっかけや報酬を見直すことで行動は変えられるのです。

つづく。