【読書メモ】ぼくらの映画のつくりかた

夏休み近辺に読んだ本 その2。

ぼくらの映画のつくりかた

「映画好きの女の子が映画サークルのメンバーとなり、様々な困難を乗り越えて1本の自主製作映画を完成させる」と一言で説明できてしまいそうなストーリーなのですが、読み応えがあって楽しかったです。うっかりエンディングでは涙ぐんでしまったし。もしアニメなり実写なりで(アニメがいい)映画化されたとしたら、わかっているのにまた涙しそうな気配が濃厚。

「哲学」が大きなテーマとなっていて、様々な哲学者とそのキーワードが登場します。どれもこれも学生のときに習ったはずの、何となく聞き覚えがあるものばかり。でもクロウのように人に説明なんてできないし、それぞれの言わんとするところを理解しているか?というと非常に心もとないです。これを機会に、ちょっとその方面に手を出してみようかとも思ったりして。

機本先生の本はこれが初めてで、他の本もお気に入りになりそうです。興味の幅を広げるきっかけをもらったような、そんな一冊でした。

【読書メモ】カタストロフ・マニア

夏休み近辺に読んだ本 その1。

カタストロフ・マニア

冬眠から目覚めた主人公を待っていたのは誰もいなくなった世界…

都市としての機能を失った東京で混乱に乗じて市民を洗脳しようとする悪い軍団、残された時間が短いとわかっても自らの生を生きようと立ち上がる集団。なんとなくAKIRAみたいだな、と思いながら読み終わりました。

一旦似てると思ってからは物語の背景や世界観がAKIRAのそれになってしまって、カタストロフィ・マニアとAKIRAが融合した別の物語を体験しているような、不思議な感覚でした。だから私がこの本から感じたことは、著者の意図したものとは全然別物になっている可能性大です。念のため記しておきますが、主人公は金田みたいに存在感がある人物ではないし、mad scientistも出てこないし、登場人物は極めて一般的な(「善良な」ではない)市民ばかりです。

主人公が冬眠していたのは治験のバイトのため。薬を注射されて眠り、そのまま温度を下げられてやがて冬眠へ。目覚めさせるときは、ゆっくりと温度を上げていくようです。これは実用化されていることなんでしょうか。私は体験したくないです。

最終的にはなんとか明るい日が差してきた雰囲気となって、まあまあハッピーエンド。物語は決してハッピーではないですが、パニック映画のようなストーリーが好きな人にはお勧めの一冊です。私のように、AKIRAが好きすぎてエネルギーが余っている人にもたぶん気に入ってもらえることでしょう。

【読書メモ】仮説思考の本2冊

仮説思考というのは、結論を見つけるための手法のひとつで、具体的には

  1. あらかじめ結論について仮説を立てる
  2. 仮説を裏付けるためのデータを集める
  3. データ集めの過程で、仮説に無理があることが分かった時点で別の結論について仮説を立てる
  4. 新しく設定した仮説を裏付けるためのデータを集める
  5. 結論が見つかる、あるいは結論の方向性が見えるまで2~4を繰り返す

といった流れの思考・手法となります。

つまり、「とりあえずデータを手当たり次第に集め、データから読み取れる何かを探す」という網羅的手法とは対極のやりかたといえます。

仮説思考を行う目的は、なんといっても時間の短縮。網羅的な手法では、まず網羅するための時間が必要で、網羅した結果、何も答えが見つからなかったらまた最初からデータを集めなおさなければなりません。途中で方向性をミスしたことに気づいても、気づくまでに相当な時間を費やしていることもありえます。

先に結論ありきでデータを集めるなら、対象がある程度絞られてくることから、網羅的にデータを集めるのに比べて時間も手間も大幅に縮小できます。もしも途中で間違いに気付いたとしても、それまでかけてきた工数のしがらみが少ないため、身軽に方向転換が可能です。そんな仮説思考についての本を2冊読みました。

ビジネススクールで身につける仮説思考と分析力―ポケットMBA〈5〉

誰もが知っているサントリーの伊右衛門。伊右衛門のヒットを例に、仮説思考を使って人気商品を生み出す手法をわかりやすく説明してくれます。成功例だけでなく、失敗例も取り上げられています。それは、同じくサントリーから発売されたものの、すぐに市場から消えてしまったお茶のこと。売れた商品と売れなかった商品の比較をすることで、仮説思考の利点がイメージしやすいように構成されています。

仮説思考の入門編として、手に取ってみると良いと思います。

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

先の本に比べて具体例がはるかに多く、また仮説思考のトレーニング方法も紹介されているのが特徴です。私にとっては、こちらの方が読みやすく頭に入ってくる感じでした。「読みやすさ」や「理解しやすさ」は人それぞれなので、両方比べてみるといいと思います。

この本を読みながらイメージしたのは、「長文を書くときはまず目次から書く」ことでした。結論と、結論に至る過程に登場するキーワードを最初にひとおおりピックアップしてから間を埋めていくという、長文作成の基本的なテクニックです。最初に目次に設定していたキーワードが、書き進むうちにつじつまが合わなくなる場合があります。そんなときは、全体のストーリー(後半のストーリー)を変更することになるかもしれません。

あるいは、つじつまが合わなくならないように、途中で新しく思いついたことを諦める必要があるかもしれません。どちらの対応策がベストなのかは場合によりけりですが、最初からストーリーを想定せず思いついたことから書き進めていく方法と比べれば、論理的・効率的なのは当然先に目次ありきの文書作成です。そんなことを考えながら読み終えました。


仮説思考は「思考」なので、どんなタイプの問題についても展開できそうなのですが、2冊とも「戦略的思考」についての本であり、ビジネス本なのでやはり「経営戦略」についての内容です。基本的な経営用語に慣れていない人には若干戸惑いがあるかもしれません。

【読書メモ】もうじき野球が開幕するので野球の本2冊

プロ野球の開幕が近づいてきてなんとなくそわそわする日々を過ごしています。WBCの日本ラウンドはスケジュールと放送時間が合わずほとんど見ていないのですが、それでも知人との会話の中で野球の話題が増えていることに春の到来を感じます。

オフィシャル・ベースボール・ガイド2017 (プロ野球公式記録集)


NHK-BSでやっている「球辞苑」が好きで、番組のなかで実にさまざまなこと細かなデータを調べて発表する人が出てくるんですが、ああいうタイプの仕事は自分に向いていそうだとこっそり思っているのです。そんなデータ好きにぴったりの本がこれ。

基本的には2016年の出来事と、いろんなプロ野球記録とが掲載されているほか、2016年に1軍登録(出場?)があった選手ひとりひとりの入団以来の1軍での記録が載っていて、わたし的にはこれがとても楽しいです。あの選手は前どこにいたんだっけ?なんてのをおさらいしてみたり。

毎日3行分くらい、その日の出来事が書かれているコーナーがあって、そういえばそんなことがあったなあ、と振り返るのもまた楽しいと思います。読書向きの本ではないかもしれないけれど、プロ野球好き・データ好きの方にはぜひおすすめの1冊です。おすすめというか、必帯の本かもしれません。

昭和プロ野球を彩った「球場」物語

こちらは最近読んだ本の中で一番のヒット。いやー、昭和の懐かしい球場ばっかり出てきます。球場が作られたきっかけや、そこで生まれた名場面の解説が詳しく載っていて、また当時の新聞記事の写真もあったりして心が躍ってしまいます。なので今のドーム球場についてはほとんど触れられていないです。

ここに載っていて実際に野球観戦した球場は

  • 甲子園球場
  • 藤井寺球場
  • ナゴヤ球場
  • 宮城球場

甲子園と宮城球場は今も現役だけど、開業が古いから…ということみたいです。

ここに載っていて野球は観ていないけど建物の前まで行ったことがある球場は

  • 広島市民球場
  • 西宮球場
  • 日生球場
  • 大阪球場
  • 川崎球場
  • 横浜スタジアム

数えてみたら結構出かけてました。もはや野球好きなのか、球場好きなのかよくわかりません。チケットないけど球場に行ってみよう、というお出かけを何度したことか。そういえば埼玉に住んでいた頃、大宮開催の西武の試合を見に行ってました。西武ドームとは違った、地方開催試合のような雰囲気の中での観戦はなかなか味があって良かったです。

今シーズンはぜひとも大阪ドームに行きたい!と思っているのですがどうなることやら。ホークス主催試合を狙うか、素直にオリックスを応援するか。あと、東京ドームの鷹の祭典にも行かなくては。などと毎年同じことを考えているのに実現できずにいます。

読書メモ【いつもの献立がごちそうになる!新・家めしスタイル】

こちらの本はレシピ集ではなくてアイディア集といってもいいでしょう。家にある材料ですぐ出来そうな、おいしそうな写真がたくさん。

なぜアイディア集かというと、食材と使う調味料は書かれているけれど分量の記載が一切ないのです。「日常の料理はそのとき揃うものを使い、味付けはお好みで」というコンセプトに従っています。

1つの素材から7種の味

「今日の晩ご飯は何にしようかな」と考えるとき、カレーライスやハンバーグなどのレシピを最初に決めるのは間違い。レシピを先に決めちゃうと、「あれれ、玉ねぎがないから買ってこなきゃ」「しまった、カレールーを切らしてた…」などど足りない材料を買いに行かなきゃいけなくなってしまい、面倒です。

野菜が1種類しかなくても工夫次第でいろんな料理を作ることができるのです。そのときに大切なのは味付けのバリエーションを考えること。ここではなすとじゃがいもを例にして7つの味の料理が展開されています。

  1. 甘い(甘辛い)
  2. クリーム味:牛乳・生クリーム・チーズなど
  3. 味噌味
  4. 酸っぱい:酢・柑橘・トマトなど
  5. カレー味
  6. 醤油味
  7. 塩味

何品も作るときは同じ味のものが重ならないように心がけるとよいそうです。献立を考えるときの基本の柱は食材でなく味付けなのですね。ちなみに「和風や中華風などが混ざっていても違和感がない」とありますが、私はそういうスタイルのごはんが好きなので、「家めし」はいつもそんな感じです。

記載されている料理はメイン・添えのおかず・麺類から汁物まで幅広くカバーされています。ざっと見たところでは野菜料理が多い印象で、これは「肉料理は外で食べることが多いから家では野菜中心のごはんが食べたい」という著者のスタンスを表しているようです。

冷や汁

冷や汁っていうと「あじの干物を焼いてむしってすりこぎで潰して…」とか面倒なことが料理本に書いてある。でもそんな暑そうな面倒なことを真夏のお昼ご飯にしたくない。

そのとおり!
冷や汁を食べたいときというのは「ぱっと作ってささっと食べたい」状況だと思うのですが、実際にいろんなレシピを探してみると「ぱっと」作れそうなものはなかなか見つかりません。手をかけて作って数分で食べ終わるメニューの代表例なのでは?

この本に出てくる冷や汁はきゅうりとニラだけを使ったお手軽バージョン。どうしても魚が食べたければ別途焼き魚でもお刺身でも用意すればそれでいいのではないでしょうか。まだ作ってませんがこれはおいしそうです。

まとめ

家に肉や魚がなくても、にんじんしかなくても。「買い物に出かけずにあるもので料理をしようかな」そんな気分になります。レシピの分量にとらわれない「料理の愉しみかた」を教えてくれる、とても楽しい本でした。