日本語でフールプルーフという言葉は機械やシステムの設計をするときによく使われます。設計思想というとわかりやすいかもしれません。一方、英語圏でのフールプルーフはもっと幅広い分野で使われる言葉のようです。
フールプルーフ[foolploof]とは
機器やシステムの設計をするとき
- 『人間はミスをする』という考え方を前提とする
- 仕組みや操作方法をよく知らなくても安全に使うことができる
といった考え方に基づいて設計を行うことがフールプルーフです。
洗濯機で考えてみよう
問題
洗濯機のふたをしっかり閉めないまま脱水が始まると水が飛び散って大変なことになりそうだし洗濯物がどこかへ飛んでいってしまうかもしれない。
解決策1
脱水するときはふたがきちんと閉まっているかを確認しよう。
解決策2
洗濯機自身がふたが閉まっているかを判断し閉まっていなければブザーを鳴らし動作をストップする。
解決策1は使う人間の側に対策を求めたものです。
解決策2のように、人間の誤操作[ふたをしっかり閉めなかった]や人間の理解不足[ふたを閉めないと脱水できないことを知らない]を見越してあらかじめ機械の側で対策しておく[ふたが開いていれば動作を停止する]ことがフールプルーフです。
私が知る限り、現在販売されている洗濯機にはふたが閉まっていないときはエラーのブザーを鳴らして人にお知らせする機能がついています。
最近の車はブレーキやクラッチを踏んでないとエンジンがかからないのも、かかった瞬間に急発進しないためのフールプルーフですね。フールプルーフのおかげで私たちは日々安心して暮らせているともいえます。
ところで、こういった設計に携わっている人でなければ日常この言葉を耳にする機会はほとんどありません。私も情報処理技術者試験の問題でお目にかかるくらい。
英語圏でのフールプルーフ
英語圏では「絶対に失敗しない」といった意味で一般的に使われているようです。外国の料理本にはよく『foolproof ○○』という料理名が出てきます。なんとなくわかるような気がしません?
foolproof vinaigrette – 絶対に失敗しないフレンチドレッシング
手作りフレンチドレッシングの失敗といえば酸っぱすぎたり油っぽいといった味の問題と、酢と油が分離してしまうという材料の性質上の問題が考えられます。
解決策
- 酢と油をつなぐための乳化剤として少量のマヨネーズとマスタードを用いる
- マヨネーズとマスタードは酸味をマイルドにしてくれる ← よりおいしい
マヨネーズに入っている卵黄は酢と油をつなぐ乳化剤の働きをしています。そうして作られたマヨネーズを使うわけですね。試してみると予想どおり市販のドレッシングのようにとろみのついたドレッシングができあがりました。写真は一日たったもの。分離してません!
基本レシピ
- 酢 大さじ1
- オイル 大さじ3
- マヨネーズとマスタード 各小さじ1/3~1/2
- 塩、こしょう、ハーブなど
基本のドレッシングは酢とオイルが1:3。そこにマヨネーズとマスタードをそれぞれ0.2くらい加えます。あまり少ないと乳化剤としての役割を果たせないので味との兼ね合いで調節してくださいね。
オイル以外のものを先にビンに入れてよく振ります。そしてオイルを何回かに分けて加えて振るとさらにフールプルーフ、絶対に失敗しないドレッシングの完成です。
日本語の『フールプルーフ』の使われ方から想像すると「料理名にフールプルーフ!?」とびっくりします。でも料理やお菓子作りって実のところ化学なんですね。特にお菓子作りは化学実験のようなものなので、そう考えれば別に変じゃないかもと思った次第です。